17歳を生きている

 三男は、今17歳。
中学の時から 打ち込んでいたテニスを やめたのは 
17歳になって 間もない頃だった。
突然 「やめたから!」と ひとこと。
「なぜ?」と聞いても、はっきり言わず
先生にもう 言ったし・・・いいじゃない・・と話そうとしなかった。
「よく 考えて決めたことなんだね」と言うと「うん」とだけ。

 
高校の入学式の前の春休みから 高校の練習に参加し、
焼津と藤枝のふたつのテニスクラブにも入り、
休みの日も 家族が起きる前に 出かけ、
あきれるほど テニスに明け暮れる毎日だったのだ。
試合では、それなりの力も発揮し トロフィーをもらってくることもあった。
それなのに・・どうして?・・・
次男にこぼすと
「母さんは 黙っていたほうがいいよ。オレが うまく 聞いてみるから」
と なかなか頼りになるお兄ちゃんだ。


 「部活は なにがなんでも 最後まで やらせる」という考えの人は 多いが、
よく考えた上でのことであれば、途中で やめてもいいのではないかと私は思う。
その決断を将来 後悔することもあるかもしれないが、
後悔は それから先の生き方に プラスになることもある。

 実は 次男も 高校の2年間を野球に打ち込み、3年になる前に やめたのだ。
何年かして 自分のことを「裏切り者」と 言った時には、
苦しい選択だったんだなあと思ったものだ。
「途中で 部活をやめるような人間は その後 ろくな生き方をしない!」と
次男は 先生に 言われたのだそうだ。
「ほら やっぱり ダメなやつだ」と絶対 言われたくないと思って 大学受験勉強を
がんばったんだよと 弟に話していた。


 三男は、早く帰宅するようになった。
あいた時間を 勉強にあてればいいなあとちょっと期待していたが
テニスが ギターに替わっただけの日々が続き。
犬の世話は、散歩も含め やると言い出し 欠かさず やってくれるのは助かってはいるが。
しかし このごろ また 少しだけ変わってきているなあと思っていると
昨晩のことだ。
父親の前に 座り、

「まだ どういう職業についたらいいかわからないし 
大学の学部も ちゃんと決めてないけど、
これから 勉強して見つけていきたい。
大学に 行きたいと思っている。
学費を出してもらえますか?」
とあらたまって 言うのだ。
驚いたり 嬉しかったりで上機嫌の父と母であった。
素直にこちらの話も 聞こうとしていた。
将来のことを こんなにも いろいろと三人で 話せたのは
初めてのことだったかもしれない。
「ありがとう ございます。お願いします」と頭を下げたあと
自分の部屋に向かう末っ子の後姿は、
スタートラインに立とうとする意欲がみなぎっていた。
ほんわか あったかい春の夜だった。


                               (2004年 3月24日)
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