ハ行

    「博士の愛した数式」 小川洋子著

 博士のルートへの愛情の示し方に感動する。子供とはこうして愛されるべき存在であるとあらためて思わされる。数字は、なんの感情も入れられないものだと思ったいたが、急に身近なものになり、温かいもののような気さえする。  (2009)
「八十歳をすぎて わかってきた 人生の大切なこと」
                   吉沢久子 清川妙著

 一人暮らしの82歳と85歳の方の 往復書簡。
一日 一日をていねいに 機嫌よく生きるのが 老いのしあわせ〜家族以外の人との良い付き合いがあるかないかで、老年期の豊かさが違ってくる〜と言われる。
いい加減な私には、よく 心しておきたいことば「ていねいに」
(2004. 8)
「母にむつきをあてるとき」介護戦いの日々 舛添要一著

 介護の記録は、珍しくはないが その介護をめぐっての兄弟間の争いには すさまじいものがある。兄弟は他人の始まり・・・まさに そんな感じ。身内の間のいざこざは どこにでもあるものだろうけど、有名人 知識人である舛添氏っちでも そんな大変なことがあったのかと驚いた。介護における問題点をあげている。                    
                              
(2006. 9)
「半落ち」 横山秀夫著

 アルツハイマーの妻を扼殺してから 自首までの二日間のことは、最後の最後まで 私は 想像できなかった。
ちょっと 間をおいて、思いをめぐらしてみたら もっと楽しかったかもしれないが。
二晩で、追いかけるようにして読んでしまった。
誰かの為に生きることが できなくなった時、なにを思うのだろう?(2003.12)
「犯人に告ぐ」 雫井脩介著

 幼児誘拐殺人犯人を追う。TVを通して 犯人に訴えかける刑事とメディアで視聴率をとるために働くキャスターとその女性とよりを戻したい刑事の上司。
「人の道を 外すも外さぬも、その違いは何かって言うと、ちょっとした頭の中のホルモンだとか何とかの問題だという気がする・・ホルモンバランスをくずし、理性に麻痺をおこし、とんでもないことをしてしまうのだ」と刑事。  (2005. 7)
「場所」 瀬戸内寂聴著

 80歳になり、過去を振り返り 静かに 細やかに書かれている私小説。
もう恋愛の相手は、亡くなり ひとりもこの世にいないという年齢になり こんなにも書くことが たくさんあることは うらやましい・・先祖のお墓の墓石には、十字架が彫ってあり、聖書のことばが 刻まれているのだそうだ。
(2005. 3)
「母という経験」  宮迫千鶴著

 『ハイジ』『小公女』『小公子』『あしながおじさん』『若草物語』『ふたりのロッテ』などの少女文学を通して、母という経験は、”成熟”に向かう航海〜と書いている。これらの少女文学が今も心に残っているのは なぜなのか?と。(2008. 7)
「光射す海」  鈴木光司著

 時化の海で遭難し、波に翻弄されながら 自分のこと これまでに出会った人たちとの関係について考えたことが、真に迫っている。
人は、死に直面したとき、ようやく どうして生きていったらいいのかが わかるのかもしれない。展開が不自然でなく、しかし 驚きのストーリー。
深く考えさせられる! お勧め!!   (2005. 5)
    「ビジョンによる自己改革」 カン・ジュンミン著

 すべての小見出しに”ビジョン ”ということばが入っている。『関心をもつためにはしばらく立ち止まってみる必要がある』と。『問題そのものではなく解決策を考える』・・最終的には、『私たちのビジョンはイエスキリストに似ていくこと』ととく。
                        
(2008. 11)
「ヒトラーの防具」上下 帚木蓬生著

 ヒトラーの遺品の中から、剣道の防具が見つかったことは事実。
日本人の目から、第2次世界大戦下のドイツ  ヒトラーを 間近で 鋭く見ている。
一段と怖さが 伝わってくる。 
(2005. 3)
 
「氷葬」 諸田玲子著

 静岡教会に いた頃、同じ教会員だった諸田さんの娘さん〜今や 押しも押されもせぬ有名作家。
夫は よく 読んでいたが、私は 初めて読んでみた。情景描写が すばらしい。
時代小説だが、女性の心理が よく理解できる。人を突き動かす怨念は、この時代のほうが強かったかもしれない。
(2004. 8)
「昼行燈ノート」 小川国夫著

 思春期 両親に 一度ずつ 暴力をふるったことがあるというようなことを赤裸々にぽつぽつと語るように 書いている。隣町 藤枝にお住まいなので、よく 知っている蓮華寺池や出身校など なじみのある風景を頭に描きながら 興味深く読めた。焼津が ギリシアに似ている!!って そう言われてみると おしゃれな雰囲気とは 程遠いところなど・・似てるかも。
                        (2005 10)
「福祉のこころ」 一番ヶ瀬康子著

 「社会福祉というのは、あらゆる学問や職業を現実の生活に生かしていくもの」と筆者。「与える」「受ける」というものでないと。
おかしい・・なぜだろう・・と考えてみる大切さを あらためて また教えられた。
                       
(2004. 11)
「福祉をひろげる」 地域福祉自治研究会編

 バリアフリーの街づくりに 障害者がもっと 関わるべきだと感じた。建物の中に 障害者用のトイレを 設置しなければならないということは、決められていても その場所が 大事。障害者の自立とは「必要な援助を受けながらも自分の生活については、自分で決定し 自分らしい生き方ができる」
                             (2004. 11)
「プリズムの夏」 関口尚著

 第15回小説すばる新人賞受賞作。ごくフツウの高校に通うぼくと友達との会話は、興味深い。友達は HPを持っている。映画館の受付の女性にあこがれ 話ができたりした時の 喜びようは、昔の高校生と少しも変わらず 純粋。
「やめていく日記」をネットで見つけ 実際に関わっていく。 (2005. 1)
                                 
「変身」 東野圭吾著

 カフカの変身とは 少し状態が違うが、自分では どうすることも出来ずに 変えられていくというところでは共通している。幼子を助けようとして 撃たれてしまったジュンが、撃った犯人の脳を移植され、次第に 犯人と同じような性格になっていく。それを 最後のところで 止めたのは 愛だった!(2005. 1)
     「放蕩息子の帰郷」  ヘンリ ナウエン著

 放蕩息子の罪を悔いる思い 父親のすべてを赦し 受け入れる愛をこれまで 幾度となく聞いてきた。表紙の絵 右側で二人のほうに体を向ける兄息子の思いを丁寧に掘り下げていく。読んでいると 兄息子の思いに近い感じがして 一番よくわかるような気がする人は多いのではないかと思った。私も。(2009)
「暴走老人」  藤原智美著

 新老人・・円熟してくるものと思いがちだが、そうではない老人も多いと。コンビニなど どこでもお客に対する丁寧語や丁寧な態度は、どんどん広がっている。そこには、心がないこともあるわけで、それを敏感に察知したとき、怒りが爆発することもある・・・分かる気がする。核家族化した中で生まれた新老人とも。(2008. 2)
「蓬莱橋にて」 諸田玲子著

 東海道を舞台に繰り広げられる短編集。
由比 、沼津、 小夜の中山、蓬莱橋、金谷・・・どこも 何回か訪れたことがあるなじみが深い場所〜現在の風景から、 文章で描かれる風景の中で 短い命を生きる登場人物を思い描くのは 愉しいものだ。由比正雪 坂本竜馬の妻 お龍 

                      (2004. 9)
 
「細川ガラシャ夫人」  三浦綾子著

 家族で話しているとき、話題になったので 20年ぶりぐらいに 引っ張り出し 読んでみた。明智光秀の娘であり 細川忠興の妻である玉子の生涯。
女性には、心がないかのように 家の為に嫁がされたり 人質になったりという時代に、キリスト教の洗礼を受け、最期まで 信仰を貫いた。感動!自分の信仰の浅さを思うと 恥ずかしいばかり。(2005. 1)
「ボランティア・NPO」(福祉キーワードシリーズ)
          雨宮孝子 小谷直道 和田敏明編著

 ボランティアについて 考えることができて 良かった。NPOのことは、ちょっと難しくて、細かい所で わからないことがある。エンパワメント コラボレーション ナショナルトラスト マッチングギフトなどなど 覚えた・・けれど・・すでに忘れそう。
                            (2004. 10)  
「ボランティア」もうひとつの情報社会   金子郁容著

 ボランティアをすると、相手から 力を与えられることが多いというのはわかる。
”自分の力というものは、それを与える人がいて はじめて 存在できるのだと思った”と
自立とは すべてを自分でするということではなく、自己決定すること〜障害者も そうありたいと思うのは 自然なことだ。(2004. 10)
「星々の舟」 村山由佳著

 母親 志津子が 懸命に 子供を愛していく姿に 打たれた。
慰安婦・・戦争の犠牲者というより 男社会の犠牲者だったと思う。
生々しく 書かれていて 胸がしめつけられる。(2003. 9)