欠陥住宅だったけれど


 いよいよ 家を取り壊すことに決めた。
20年暮らした我が家。
 本当は、リフォームしながらもっともっと長持ちさせたかった。
壊してしまえば、全部ゴミになってしまう。焼却されるにせよ、埋められるにせよ地球にとって害になる。
 物を大切にすることは、私たち夫婦のポリシーだ。
電気製品は、壊れれば直して使いたい。買ったほうが安くても簡単に捨てたくない。なぜなら ゴミを増やしてしまうだけだから。
すべてそういう考えで、生活してきた。

 
20年前 30代前半で子供は3人。その子たちは現在上の子は27歳になった。この家は、欠陥住宅だったけれど ここで遊び、食べ、勉強しけんかをし成長した。4人目は、ここで生まれた。
 柱には、それぞれの成長のあとがしるしてある。父と母の身長だけは変化がないので、父、母としるしそこから何センチプラスだから、現在何センチという具合に計算していた。
長女は169cm、長男176cm、次男181cmで止まったようだ。3男は今まだ伸びている。
 3歳位からの成長がしるしてあるこの柱は、とっておきたいと夫は言っている。


 4年前に、お風呂と洗面所をきれいにし、2年前に外壁と内装をやり直し見た目はきれいだが、地震がきたら倒れてしまうというほど シロアリの被害がひどいのだから、壊すしかない。

 20年前、家を建てようと思ったわけは、東海大地震の時、その頃住んでいた教職員住宅では子供を守ることは困難と思ったからだった。
4階建ての4階。地震で火災が起きた時、どうしたらいいんだろう?子供たちを連れ逃げることができるだろうか?
 東海大地震は、明日起こっても不思議ではないと言われている。とにかく地についた所で暮らしたかった。

 新しい家は、耐震性に優れていると言われている「ツーバイフォー」の工法を選んだ。
 建てた建築会社の人が、このありさまを見にきたのは7月25日のことだった。「こんなにひどいのを見たのは、初めて」と言った。
「しかし、20年経っていますから〜保障期間は5年なんですよ」とも。


 「静岡欠陥住宅をなくす会」の建築士が来てくれたのは、その前日のことだった。床下まで調べると、床下は異常なしなのだ。私達もそれはわかっていた。今までにも心配だったので、何回か定期的に消毒をしていたのだ。
 コーキングされていなかった板金の接続部分から 水が入っていたことは明らかだけれど、20年経っているので、裁判をやるにはそれなりの覚悟と時間が必要ということだ。

 地震の時、家に押しつぶされて死ぬのは嫌だ。
だから、新しい家を建てる!
 欠陥住宅ではあったけれど、地震があったら周りのどの家よりも早く倒れてしまうとは思わずに長いこと暮らしていた。
 子供達は、成長し今では 何かあったら私達のほうが助けてもらえるだろう。これまで、地震がなかったことを心から感謝したい。


                  2002  8.11

 
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