理想のおばあちゃん


 民生委員をやっていることもあって、高齢者の方々と接することが多い。
70代だと まだ肩書きをもっている方もいるが、80代になると ほとんどの人が肩書きもなくなり、正真正銘のおじいちゃん おばあちゃんになる。
それぞれに 個性があるのが、人間のおもしろいところだ。

 私の家の前の道を ほとんど毎日 買い物に行くために通るMさんは、91歳。
ここ数年は、押し車を押しているが、その前は自転車だった。
上品で 穏やかな笑顔が とってもステキなのだ。
「家を建て直したのね〜まだ 新しかったのに・・」と つい最近 言われるので
「実は これこれしかじか〜〜」と簡単に話すと
「そう〜20年じゃあ もったいなかったですねぇ。・・・ところで じゃあ くんさんと私は 20年のお付き合いになるのねぇ」とMさん。
「20年のお付き合い」と言ってもらえたことが、なんだか とっても嬉しくて、しばらくは
「20年のお付き合いかぁ・・」とそのことばを思い出しては、そういう言い方っていいもんだわ〜とほんわか心が温かくなった。
通りすがりに 挨拶とちょっと話をする程度の積み重ねの20年だったのに。
私も Mさんのように、そういうことを人に 親しみをこめて言えるような年寄りになりたいものだと思う。


 教会員で一番 高齢なのは 92歳のI さん。
会えば 
「いいねぇ あんたは いつもニコニコしていて!
それに あんた達は ほんとに仲のいい夫婦で いいなあと思うよ。
あんた達のお陰で 教会の中が明るくなるよ」
と必ず 言ってくれる。
本当は I さんの顔を見ると、自然と顔がほころんでしまっているだけなのだけど・・そして
せめて I さんの前では 夫婦げんかはできないと思っているのだ。
高齢になれば、助けてもらうことのほうが多くなるかもしれないが、お返しは 言葉で 十分できるものだ。こんな言葉かけが どれほど 周りの若い者をなごますことか〜


 義母は 今77歳。誕生日も 血液型も偶然 義母と私は同じだ。
そのせいかどうかは わからないが、嫁として 嫌な思いを今まで したことがない。
 結婚して 間もない頃、台所仕事を手伝っている時、お皿を割ってしまったことがあった。
「割らなきゃ 陶器屋の子が育たないよ〜」とすかさず 言うので 嬉しいやら驚くやらだった。
亡くなったおばあちゃんもそうだったが、
人のことを 決して 悪く言わない
自分のことより 家族のことを考え
家の中の小さなことに 幸せを感じられる人だ。
そういうところは 見習いたいものだと思う。
                                   2003 6.11
 
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